泣き言 in ライトノベル

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竜と祭礼3 -神の諸形態-

神か?

 いわゆる神学的教養は持ち合わせていないのですが、こうした文化的侵略の側面として見たときの宗教の併合は非常に強力なものでそこに至るまでの絡め手というか手管は非常に素晴らしいと思いました。

“竜の杖”の依頼から季節はめぐり、冬。イクスは作杖のため、ある修道院へ向かっていた。
亡霊哭く“神の街”エストーシャ。魔法杖の祖レドノフの伝説が残るその街で、イクスは職人仲間と出会い、自らの職人としての在り方を見つめ直しはじめる。
その頃、故郷に戻るはずだったユーイはマレー教の勢力争いに巻き込まれ、ノバとともにエストーシャの神学会議に出席していた。異教徒ユーイを召喚した新派の狙いとは──。
レドノフの“究極の杖”は実在するのか。マレー教の、そしてルクッタの神とは。
謎の爆破予告で神学会議に動揺が走るなか、イクスとユーイの思惑が“星拝”の日に交差する。

杖職人たちの物語、雪と星の第3巻。

 またあらすじで語られる究極の杖という解釈も素晴らしいと感じました。明らかに特殊技能として語られる杖に対してそういうものを究極として定義するのは歴史としての歩みを感じさせる素晴らしさがありますね。

 オーソドックスエンタメとしてのジェットコースターぶりはこの作品にあるわけではないのですが、知的好奇心の充足という面で考えれば本作はめっちゃ面白いと言えるでしょう。この作家さんめちゃくちゃ頭良さそうではある。大好き。

 

ノシ