ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミンⅦ
正直、この作者を舐めてたのかもしれない
だって、これ誰も悪くないじゃん
異論を覚悟して言うけれど、これ誰も悪くないよ
いや、もちろんキャラクター性や思い入れによってキャラクターに対しての愛情が大きく変動する
けれど、だからといってひとまとめにして、彼を批判することなんてできるだろうか、いや、できない
イクタの想いを、ヤトリの覚悟を、そして……
だからこそ、腹立たしい
組織というものはこれほどまでにうまく回せないものなのかと、流れなくていいはずの血を止めることはこんなに困難を極めるのかと
また、ヤトリの解放はこの物語において大きなテーマだったと思う
作者がどういう決断を経て、この結末を書いたかは一読者であるところの自分には想像するしかない
このテーマに向き合った結果がこの結末であるけれど、これは逃げだと言えるだろうか?
違うと自分は思う
この結末以外、ヤトリシノ・イグゼムというキャラクターにはなかったのだと思ってしまう
ヤトリシノでもなく、イグゼムでもない彼女だからこその結末だ
例えば、容易に考えられる結末をとった場合、キャラクターとしての逸脱が容易に起こりうる
言ってしまえば、アイデンティティの消失だ
そうしてしまった時点でヤトリシノ・イグゼムではなくなってしまう
まぁ、強いてひとつだけこの物語に希望を残すとすればイクタ自身が常勝常怠の名将として語られるという未来が一巻において提示されていることだろうか
そして三人にありったけの願いを、言葉にできない複雑な想いをこめて、締めくくるとしよう
ノシ