泣き言 in ライトノベル

ライトノベルの感想を真面目に不真面目に書きなぐるサイト

恋×シンアイ彼女

初めに言っておくが、マーケティング問題については一切語る気はないからな!

・四條凛香

旧校舎や花壇の撤去反対に関する生徒会長選挙がメインのストーリーライン。ただ、一番盛り上げるべきところで手を抜いてしまったという印象。というのも、旧校舎を守るというのは主人公とヒロインの共通の目的であり、そこでいかに想いを詰め込むかというのが大事である。にも関わらずそこで手を抜いた。読んでいてこいつらはどうして旧校舎を守りたいのか、どういう思い入れを持っているのかという面で非常に共感がしづらかった。ただイチャイチャさせたかっただけなら、こんなストーリーラインは必要ない。


・小鞠ゆい

凛香と同様、旧校舎、花壇辺りがメイン。ただゆいルートでは「なぜ守りたいのか」という部分がきちんと明確化されていた。主人公自身も可愛い妹分みたいなゆいの願いを叶えてやりたいというある意味キャラクターにあった目的意識が見られて、主人公に対してきちんと感情移入することができた。花壇を守るために戦う皆やその結末。隠されていた事実など、非常に感動させられた。ロリキャラは苦手という印象を完全に覆してくれた。

 

・新堂彩音

正直な話、あんまり印象に残っていない。明らかに過去に何かがあった系のヒロインなのだけど、どうして主人公は踏み出せなかったのかという理由が酷く面白みがない。主人公は小説家であり、書けなくなった理由は別の女にあるのだから、どうしてもかませキャラという印象が拭えなくなってしまう。彼女自身が踏み出す展開まではよかったものの、仇キャラがあまりにも稚拙であったり、シナリオ進行の強引さなど、はっきり言ってキレそうになった。

・姫野星奏

前評判を知っている状態でプレイしていたため第一印象は一番悪かった。彼女が想いを見せても「どうせ捨てていくんだろ?」と思ってしまうわけだ。前哨戦の個別ルートでは主人公がどれだけヒロインのことが好きかが描かれていたと思う。結果として件の状態になってしまうわけだが、主人公が小説を書いたという点が大きな成長であり一方通行だとしても伝えたいことがあるという気持ちを形にすることはうまく書かれていた。

 

・姫野星奏最終章(ネタバレにつき要反転)

主人公は母校の教師になったという時系列で物語が始まる。文芸部にはたった一人の女子生徒がおり……という展開。久しぶりの再会で、星奏には辛く当たろうとするものの結局はそれを楽しんでしまう主人公は個別ルートでの「小説という形で吐き出した恋心」という明確な想いを捨てきれない辺りとても一途なキャラクターだった。女子生徒の方もいずれは去りゆくキャラとして星奏と対比されており、それもまた主人公がどれだけ星奏を好きだったかを演出しており思わず主人公を応援せざるを得ないほど物語に没入させてくれた。そして問題になったシーンは悲恋としてはさほど問題がないように思えた。というのも、姫野星奏という女の子はやはり特別な存在だったのだと思う。星の音が聞こえるという特別さを抱えた彼女は、普通の恋愛をするにはそれを捨てなければいけない。逆に主人公の特別さというのは、相手に気持ちを届ける才能という点だと思う。きっと彼に才能がなければ、この物語はきっと成立していないだろう。悲恋になってしまったのは周囲に恵まれた主人公と恵まれなかった星奏という差。その差を理解しようと再び言葉を紡ぎだす主人公に誰も彼もが力を貸してくれて月並みな言葉になってしまうが、やはり王道さを感じさせた。惜しむべきは主事項がどれだけ星奏が好きかという点は十分に説明されていたが、星奏はどれだけ主人公が好きだったのかというところはあまり書かれていなかったところ。苦渋の選択を描ききれなかったため、炎上という結果になってしまったのだと思う。しかし、これを最後までプレイしきったのであれば、これが純愛であり、悲恋のままで終わらないのだろうと理解できるはずだ。いわゆる幸福の先の物語が書かれていないだけで主人公と星奏は幸せを掴んだのではないだろうか。

 

ノシ