泣き言 in ライトノベル

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FLOWERS 1 ―Le volume sur printemps- フラワーズ〈春篇・上〉

素晴らしい。

――どうかこの一時だけ、アングレカム花言葉を私に。

高い塀と森に囲まれたミッションスクール、聖アングレカム学院。
美しい少女たちが集う閉ざされた花園に、心に傷を抱えた少女、白羽蘇芳が入学する。
内気で臆病な彼女が欲したのは――仮初めの友、アミティエ
全寮制の女子校である聖アングレカム学院は、生徒たちへ生活を共にする友をあてがう制度“アミティエ”を設けていた。
穏やかに流れる学院生活に影を落とす、生徒たちの不自然な消失……。
友を得るため、アミティエとの絆のために、蘇芳は学院の謎を紐解く――。

行く手を阻む茨の森に、傷を負いながらも
友情と恋情の花を咲かせる少女たちの物語が、華開く。

繊麗な描写と衝撃の展開で百合ファンを震撼させたノベルゲームを、原作シナリオライター・志水はつみがノベライズ!
静謐な花園で、仄かな恋を芽吹かせる少女たちの青春群像。
これぞ、少女小説の正統(クラシック)にして最前線(フロントライン)! 

ゲーム版では描写されていなかったところが追加されていて、物語としてかなり完成度が上がっているのではないかと思いました。とりわけ、苺、林檎のアミティエについての追記は個人的にはお気に入りです。ゲーム版では明かされなかった人物ではありますが、ノベライズでの追加により、非常に気になるキャラクターとなりました。

それはまるで僕が知らない沙沙貴苺、沙沙貴林檎を見ているようで、彼女たちのことがより一層好きになれそうです。僕が知っているのは、蘇芳さんやえりか、譲葉先輩たちと仲良くしている彼女たちで、藤先真央と仲良くしている二人は全くの知らない存在です。

そんな名前しか知らない女の子と、沙沙貴姉妹が仲良くしている姿を僕はありありと想像できます。何故なら、彼女たちはとても優しさに溢れた佳い人間であることを知っているから。そんな彼女たちだからこそ、憤りを覚え、血塗れメアリー事件が起きたのだとすると、やはり僕は彼女たちのことを否定できないと思うのです。

アミティエ制度ですが、やはりこの制度は作中の人物たちが言うように仮り初めでしかないのでしょう。ですが、仮り初めの存在が本物にならないと誰が決めたのでしょうか? 閉ざされた雪の中、春を待ちわびる三人が、形作る旋律が偽物であるはずがないのです。

ノシ

 

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