泣き言 in ライトノベル

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Hello,Hello and Hello

あとがきが感動的だった。

いつだって、この出会いは必然だった――

第24回電撃小説大賞《金賞》受賞作!
――これは僕が失った、二百十四回にも及ぶ一週間の恋の話。
そして、わたしが手にした、四年に及ぶ一度きりの恋の話。

「ねえ、由くん。わたしはあなたが――」
初めて聞いたその声に足を止める。学校からの帰り道。中学のグラウンドや、駅前の本屋。それから白い猫が眠る空き地の中で、なぜだか僕のことを知っている不思議な少女・椎名由希は、いつもそんな風に声をかけてきた。
笑って、泣いて、怒って、手を繋いで。
僕たちは何度も、消えていく思い出を、どこにも存在しない約束を重ねていく。
だから、僕は何も知らなかったんだ。
由希が浮かべた笑顔の価値も、零した涙の意味も。たくさんの「初めまして」に込められた、たった一つの想いすら。 
――これは残酷なまでに切なく、心を捉えて離さない、出会いと別れの物語。

これは〇〇の物語なんだな――

といった作者の感性を僕はとても素晴らしいと思うのです。

一週間しか世界に覚えてもらえないヒロインである由希ちゃんがとある男に猛烈アタックを続けるという話……であらすじは説明できてしまいます。となると、ああ、主人公に覚えてもらえないけど、健気に好意を抱き続けるヒロインが魅力なんだな、と当然にわかるわけです。

実際それは間違いないし、むしろそうでなければおかしいとさえ僕は思います。となると、この物語をどう着地させるか、どういう過程を歩かせるか、がものすごく重要で、作品の魅力とイコールであると思います。アイデンティティと言っても言い過ぎじゃないと思います。

確かにこのエンディングはよくあるパターンです。こういう話は思い出さない、思い出すしかないんだから、かぶるのは当たり前。

だけど、僕はこのエンディングは貴いと思ったし、ぎゅっと心を掴まれました。

とても良いと思います。