泣き言 in ライトノベル

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ぼくたちが本当にシタかったこと

これは、ひょっとして物凄い名作に出会ってしまったのではないか?

主人公たちはなんとアダルトビデオを制作する専門学校生というぶっとんだ設定ぶり、これまでゲーム作りやエロコメディ系の作品は数多くあれど、ここまでリアリティ溢れるというか真に迫ったというか、直線的な作品にはお目にかかれなかった。

セクシャリティの問題としてのAV女優っていうのは、正直考えてもみなかったことなんだけれど、その辺りの描写が迫真を極めきっているとかいうか、これ読んだらもう元には戻れないというかAV見れない……

けれど、この作品が全編エロで押し通しているかと聞かれればそれはやっぱり違う。むしろ押し出されているのは性に対しての潔癖さであったり、当たり前に享受するものでありながら、けれど、空想であるということへの逃避だったりする。

ここでは単純なAV女優を目指す女の子たちも多く、そういった意味ではヒロインがAV嬢としてデビューすることだってありえるわけで、そこにおいて物語のテンプレートに則った仲良くすること=成功することが、まさしく性交に繋がるわけで突如として画面の中でしかなかったエロスが目の前に立ちふさがるわけである。これは本文中にも問いかけれられていたが「エロス」とは何かという問いでもある。

主人公のある種冷めた目線であったり、その恋愛観だとかエロスというものへの解答だったり、そういう深い闇をどことなく感じさせたりするので、ぜひとももう少し見ていたい物語であることは間違いない。

これまでインスタントなエロスだったものが、こうして身の上に降りかかってくると急激に重みを増す、それがこの作品が描ききった女性のエロさだとは思うけれど、それがこうした説得力という形でにじみでたのは作者のたまゆまぬ努力の結晶なのだと思います。参考文献が出るあたりガチだと思います、はい。

『痴女の誕生 アダルトメディアは女性をどう描いてきたのか』だそうです。

ノシ