とある飛空士への~ とある結末への軌跡2
第二作目とある飛空士への恋歌
この物語は一度見るだけで辛く、厳しいものだとわかります。風呼びの少女と亡国の皇子は簒奪したものと搾取されたもの、これ以外の関係はありません。たとえ、関わっていないとしてもなお、です。
だからこそ、カルエルの母、マリアの言葉が響きます。光だけを見ていて……憎しみを捨てる魔法の言葉。ただどう言い繕ったところでカルエルはマザコン入っていると思います。
「出発したって、どこにも辿りつかないよ。ぼくらは捨てられたんだ」(カルエル・アルバス)
イスラ計画は完全に失敗することが目に見えています。空の果てを探す旅というのはあまりにも都合が良すぎて、夢でしかない。頭のいいカルエルには、それがわかっているのがなお悲しいところ。
「良い夢ね。そうよカール、あなた、飛空士になりなさい。ずっと自由に、誰にも縛られずに空を飛ぶの」(マリア・ラ・イール)
空の王としての第一歩といったところでしょうか。地獄のような場所で過ごしていながら、空に広がる情景への感慨を抱くことができる。それが空の王の条件かもしれません。
「そう。そのことを覚えていて。憎しみに囚われないで。あなたは光だけを見ていて」(マリア・ラ・イール)
作中でもっとも大事と言える台詞です。この言葉こそ、カルエルとクレアをつなぎ止めてくれたものです。マリアさん、できた母親だと思います。
「飛びたいんだろ? 遠慮はいらねえ。空の果てまで飛ぶんだ」(ミハエル・アルバス)
第二の父親と呼ぶべきミハエル。カルエルの夢をとりあえずは、叶えてあげた素晴らしい人物。彼とアリエル含む三人姉妹がいなければこの物語は成り立たなかったのでしょうね。
「わたしたち、雲のうえを走ってる!」(クレア・クルス)
イスラという特殊環境でこそ起こる奇跡。二人の仲を一気に近づけるわけですが、その後のことを知っていると一概には喜べなくなってしまうなあと。
ノシ