泣き言 in ライトノベル

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空ろの箱と零のマリア7

ああ、これは疑いようもなく……もはや疑う余地もないほどに御影瑛路の純愛小説だと断言できる

「足りないよ。僕は、もっと愛っていうのは深いと思うんだ。もっと取り返しが付かない。相手のことを思いやるのを超えて、お互い取り込み合って、切り離せない。自分と彼女で、一つの概念になる。同体。相手が欠けてしまえば自分でなくなる。それが愛だと思うんだ!!」

長ったらしく引用したけれど、大体これが全て

狂気に満ちていて、狂喜を垂れ流して、愛を求めていく物語

そして、どこにでもありふれた日常の物語

いやいや、何を言っているんだと、お前は馬鹿なのか

たった二行で矛盾を起こすなと言われるかもしれない

あっていると、これは狂気を知り、狂喜に酔いしれながらも日常というどこにでもある世界に戻ってくる……そんな日常の強さを思い知ることのできる物語だと……そういうことである

柳悠里は、新藤色葉は、神内昂大は、宮崎龍は、浅海莉子は、茂木霞は、桐野心音は、臼井陽明は、大嶺醍哉は、星野一輝は、音無麻理亜は、箱によって何よりも大切にしてきたはずの日常を完膚なきまでに徹底的に破壊された

けれど、彼らは、彼女らは、日常という幸福な世界に戻ってきた(なお一名は死んでいるが)

星野一輝という人間はその何よりも日常を愛する心により、多くの人間の心に深く刻み込まれている

色んなものが壊れていき、その中には元通りになったものと、もう元には戻らなくなってしまったものだってある

けれど、彼らは、彼女らは、日常という幸福な世界に立っている

箱は言う、願い事はあるか、と

箱という物語に絡め取られた彼らと彼女らは、それに対する答えをもう知っている、痛いほどに

願い事はなくならない

それはなぜか

願いというのは、自分で叶えるものなのだから

ノシ