泣き言 in ライトノベル

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egoistic lily~please apology~

冴えない彼女の育てかた egoistic lily~please apology~10

「ああああああああああああああああああああああああああ!」 弓を限界までしならせて放った矢如き大声が馬鹿みたいにだだっ広いリビングにまで反響する。 「くそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそく…

冴えない彼女の育てかた egoistic lily~please apology~9

澤村・スペンサー・英梨々という少女(もうそんな年齢ではないかもしれないが)は俺にとっては一言で表せるほど単純でわかりやすくない。

冴えない彼女の育てかた egoistic lily~please apology~8

「相変わらず、ここのケーキは美味しいな」 「そうだね、あの時は安芸くんのおかしなペースにドン引きしたけどね」 「あの時は正直、どうかしていた気もする」 「あはは、何それ」 俺たちはお昼のちょっとした休憩にスイーツバイキングに来ていた。あの時は…

冴えない彼女の育てかた egoistic lily~please apology~7

うだるような暑さを感じつつも、俺は東京都江東区有明3-11ー1、東京ビックサイトに来ていた。八月十七日、つまりコミケ最終日。俺と英梨々からすれば約束を果たすため日。隣には誰もいない。そして横を眺めると長蛇の列。コミケスタッフの名言(迷言?)…

冴えない彼女の育てかた egoistic lily~please apology~6

その時の俺はきっと、どうかしていた。熱に浮かされたように一心不乱にパソコンのキーボードを叩いていた。自分が正しいと思い込んでしまった道を馬鹿みたいに駆け抜けていった。多分、今の俺は事情を知っている人間からすれば間違っているのだろう。 長時間…

冴えない彼女の育てかた egoistic lily~please apology~5

「せ、先輩」 「どうもこんばんは、倫理くん」 あ、凄くいい匂いがする、加藤のやつ何があんまり期待するなだ、めちゃくちゃ美味しそうじゃないか。 「ところで倫理くん、お腹すいてないわよね。私はすいているからこのお粥もらっていいかしら?」 「いやい…

冴えない彼女の育てかた egoistic lily~please apology~4

気がついたら、そこには加藤がいた。袖口のパフスリーブをつけた白いシャツ、ブルーのフレアスカートに緑のストール、それに素足。俺がいつの間にか寝ていたベッドの端に腰掛けてフラットな表情でスマホを弄っていた。 「あ、安芸くん、おはよ」 随分と普通…

冴えない彼女の育てかた egoistic lily~please apology~3

いや、決してコミケに行きたくなかったわけではない。純粋に熱が出た。両親は都合よく、ストラスブールへ旅行に行っている。冬だったら、露骨にフラグが立ってたな。 それはともかくとして熱が出たことでほっとしている自分がいたことも確かだ。 きっと今行…

冴えない彼女の育てかた egoistic lily~please apology~2

加藤に言われたことを少し気にしながら、家路に着く。自宅の郵便箱を開けと、そこに入っているのは一冊の同人誌。 中身なんて確認するまでもなく分かる、柏木エリの新作だ。 二年前の夏コミの後の話だ。あいつは自分が誰もが認める”凄い”作家になったとき信…

冴えない彼女の育てかた egoistic lily~please apology~1

我らがサークル、blessing software の初陣となった高校二年生の冬コミでは霞詩子と柏木エリの名前が猛威を振るい、処女作とは思えないほどの大盛況となった。その前後に起きたサークル内でのいざこざはとりあえずまあ、ここで述べるのはやめておこう。とい…